モル質量とは、物質1モルあたりの質量のことで、単位はグラム毎モル(g/mol)です。求め方は、化学式に含まれるすべての原子の標準原子量を足し合わせるだけです。水(H₂O)の場合は、2 × 1.008 + 15.999 = 18.015 g/molとなります。
モル(mol)は「ダース」のような数え方の単位です。1モルは、何かの粒子が6.02214076 × 10²³個集まったものを指します。モル質量が答えてくれるのは、その次に出てくる実用的な疑問です。つまり、その個数の粒子がほしいとき、何グラム量ればいいのか、ということです。答えは元素ごとに周期表に載っていて、化学式がそれぞれ何個ずつ数えればよいかを教えてくれます。
3つのステップ
1. 化学式に出てくる元素をそれぞれ数えます。下付き数字は、直前の原子の数を表します。かっこの後ろに付く下付き数字は、かっこの中のすべての原子に掛かります。そのため、Ca(OH)₂はカルシウム1個、酸素2個、水素2個です — この2は水素だけでなく、かっこの中の両方の原子に適用されます。
2. それぞれの個数に、その元素の原子量を掛けます。周期表の元素記号の下にある数字を使います。炭素は12.011、水素は1.008、酸素は15.999です。
3. それぞれの積をすべて足し合わせます。その合計が、1モルあたりのグラム数で表したモル質量です。小数点以下は最後まで計算し、最後に一度だけ四捨五入するのがおすすめです。
計算例:水、H₂O
水素原子が2個、酸素原子が1個です。水素:2 × 1.008 = 2.016。酸素:1 × 15.999 = 15.999。これらを足すと、2.016 + 15.999 = 18.015 g/molになります。つまり、水1モルの重さは約18グラムで、大さじ1杯ほどの量です。
計算例:グルコース、C₆H₁₂O₆
炭素原子が6個、水素原子が12個、酸素原子が6個です。炭素:6 × 12.011 = 72.066。水素:12 × 1.008 = 12.096。酸素:6 × 15.999 = 95.994。これらを足すと180.156 g/molになります。質量のほとんどを炭素と酸素が占めている点に注目してください。水素は24個中12個と原子数では半分を占めますが、質量では7%未満にすぎません。
計算例:水酸化カルシウム、Ca(OH)₂
多くの人がかっこの部分で間違えます。Ca(OH)₂は、カルシウム1個とOH基2個、つまり酸素2個と水素2個を表します。カルシウム:40.078。酸素:2 × 15.999 = 31.998。水素:2 × 1.008 = 2.016。合計:74.092 g/molです。
水和物:CuSO₄·5H₂Oの中点の意味
この点(・)は掛け算や小数点ではありません。結晶が水分子を一緒に持っていることを示し、前にある数字がその個数を表します。CuSO₄·5H₂Oは、硫酸銅1単位に水分子5個がまるごと付いたもので、159.61 + 5 × 18.015 = 249.68 g/molになります。この水を計算に入れ忘れるのは、実験計算でよくある間違いの一つです。答えが3分の1以上も変わってしまうからです。
モル質量・分子量・式量の違い
これらはどれも同じ数値を、少し違う場面で使う言葉です。分子量(相対分子質量)は炭素12を基準にした比なので、単位を持ちません。モル質量は、同じ数値にグラム毎モルという単位を付けたものです。式量は、NaClのように独立した分子ではなく格子構造をつくる物質に対して、一部の先生が好んで使う言葉です。水はいずれの場合も18.015です。
周期表の数字に小数点がある理由
それらが平均値だからです。塩素は自然界では塩素35と塩素37が混ざって存在するため、標準原子量は35.45となり、どちらの値とも一致しない中間の値になります。この平均値こそ、大量の試料を量り取るときに正しい数字であり、それはまさにモル質量の役割です。特定の同位体について知りたい場合は、平均原子質量計算機で重み付けの仕組みを確認してください。
よくある間違い
大文字と小文字に注意してください。Coはコバルトですが、COは一酸化炭素で、両者の質量は約14 g/molも違います。かっこの後ろの下付き数字は、かっこの中のすべてに適用します。それぞれの元素の原子量を整数に丸めてから足し算をしないでください。誤差が積み重なってしまいます。また、下付き数字はその直前の原子にのみ属することを忘れないでください。したがってCH₃COOHは炭素2個、水素4個、酸素2個です。
モル質量が使われる場面
定量的な化学計算のほとんどは、モル質量を経由します。量り取った質量をモル数に変換するにはモル質量で割り、モル数から質量に戻すには掛け算します。これがグラムからモルへの変換のすべてであり、だからこそモル質量は最初に求めるべき値になるのです。
答えを確認する
下に好きな化学式を入力して、自分で計算した結果と見比べてみましょう。内訳には元素ごとの小計が表示されるので、答えが合わない場合もどこで違いが出たかがすぐにわかります。